上泉かにもりの生涯

ギヒヒヒ

今日もパンティ＆ストキンの画集を模写していたのだけど、正面のような、ちょっと角度ついたような顔の絵がどうしても同じにならなくってモガモガしている間に残り２０分になったので諦めてシュババって感じに上のんを描いた。でもこれもおおむね模写。

ちょっと斜めの向き難しいよう！描けないよう！ちょっと斜めでほぼ正面なのに描いてるとまるっきり正面か完全に斜めかになってるんだ！そんでもって元の絵は少しうつむき加減で水平線が少し上のほうにあるのや！これがまたね！またむつかしくてね！さらにネコ！ネコが色っぽい声出しながら超邪魔してくるのや！色っぽい！！！！

この謎はかならず解いてみせる。
おれは今日から「ほぼ正面少し斜めちょびっと上からの謎」を命をかけて追いかけることに決めた。なんか失った感情とかいろんなの思い出してきた！でも今はおまえだ！おまえをモノにしてみせる！おれの！あれにするぞ！……と絵に向かって勇ましく吠えたら窓が開いていて下を歩いている人に思いきり見られた。窓を開けたのはそう、このおれさ！（あげぽよ状態）


それはそうとして、模写には元の絵から自由になりつつもしゃるというテクッニクがあるようです。模写にのぞむ際は、常に生涯最高の集中力で元絵が冊子ごと火を噴いて爆発するくらい見つめ「これはなぜこのライン取りをしておるのか」などと脳みそをフル回転させながら線を追いかけるのだけど、実際に描くのんは同じようじゃないの。でもそれはあたくしにとっては模写で……

プロの絵は本当にすごいのですものすごいのです。見てるだけでもワーウ！という感じですが、模写してみるとそのすごさや素晴らしさ、バックグラウンドに広がる豊かな森の大きさにうっとりしてしまうのです。意図と確信と愛、惜しみなく注がれる想像力そしてそれらの絶え間ない反復の果てに神々がお住いになる国があるのです。（BGM：ガンダーラ）

つまり、模写とは。
模写をしようと思ったときにはもう模写は終わっているのだとしたら。
必殺の覚悟で待ち受けるさいとうプロの精鋭7200人を全員Gペンで倒したのち、あたくしはその領域へとたどり着くであろう。もしくは１人目に無残にやられてしぬであろう。


のちのイラスト界歴史書「かにになりたい」（2117年発行）にはこのようにある。

”模写の達人、上泉かにもり（旧PNアリコ）はこの世のすべてのイラストを模写し、晩年にいたりついに模写の妙域に達した。この時上泉は「そうか、そうだったのか……」と静かにつぶやき、以後ペンを持つことはなかった。

ある時、旧知の仲である完璧超人・六輪七郎が上泉を訪ねた際、手前を拝見したいと請うたが、上泉はよだれを流したまま失禁し、おむつを要求した。また、親友である「電動歯ブラシでおまたをこするだけ」の作者・宮本むりです（旧PN:眸和哉）が訪ねた際もペンと紙を手渡して「昔のように一緒に落書きでも」と誘ったが、上泉は「おまんまとおまんまんではえらい違いだ」と言って応じなかった。

上泉かにもりは98歳の時チョッパーが拾ってきたアミウダケに当たって逝去するが、死ぬ直前にこのような言葉を残している。

「わが模写は天地とひとつ。ゆえに、模写する必要はないのです。」”

「巨大おじさん丸見えの旅」で知られる伊藤一等賞（旧PN：guitar）は上泉の死後、このような言葉を残している。

「上泉さんはぼくに文責をおしつけてくるのでとてもいやだった」

上泉は生涯に3兆9847万6978枚の模写を遺した。
その2次創作ともオリジナルとも呼べぬ奇形は、本人の希望によって荼毘に付された。”


なんだこれ

＋上泉かにもり＋