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キミ、なっちゅをもらえるかね

2024

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2012

0516
それは雨ふる深夜の砂漠の果てにあった


いちばん大きなのを頼んだけど、ちっちゃかった。

小人たちの街は案外栄えていて、あたくしの背丈ほどもあるビルがいくつもある。大きなビルはだいたい商業施設で、たとえば百貨店の名前なんかを見ると、人間の会社が提携しているみたいだった。

街の様子も人間のものと変わりはなく、ただ縮尺が違うだけだ。あたくしは自分が巨人になったような錯覚、いや錯覚じゃないのだけど、とにかくあたくし自身が大きくなったわけではないのにビルより大きくなってしまったというこの場にある現実が不思議でならなかった。そして、それがたいそう愉快におもわれた。

街には人間用の施設がいくつもあって、それはこの場所に人間が頻繁に訪れることを意味している。どんな人が訪れるのだろう?あたくしはこの場所がある、ということを知らなかった。でも、知っている人もいて、ここにやってくるのだ。ほかに人間いないかな、と思ってまわりを見回したけど、いなかった。小人たちはあたくしのことを珍しがるでもなく、忙しそうに行き交っていた。

中くらいのビルの上に小人がいたので、レストランはないか?と訪ねた。小人は耳を押さえてうるさそうに身をすくめ、レストランがあると思われる方向を指差した。よく見れば小人の頭上の看板には「HUMAN→」と書いてあった。そちらの方向に歩いていくと、見慣れたサイズの建物がいくつか並んでいて、その中にはレストランもあった。

人間用のレストランは、ビュッフェ形式になっていた。食べ物はお肉とサラダ、それとライス、パンのみ。メガホンを持った小人が料理をきびしく見張っていた。あたくしが前に立つと、「野菜食べなさい!まず野菜食べなさい!」とせわしく言ってきて、うるさいな、と思ったけどあたくしは言われるとおりにした。窓際の席で食べた。

外はずっと雨が降っていて、青い。少し紫がかっているかもしれない。雨粒は小人たちには巨大だから、小人たちは屋根のあるところだけをせかせかと移動していた。たまに、屋根をかすめるように落ちた雨粒がはじけて、小人たちのいくらかはびしょぬれになっているようだった。そのたびにあがる悲鳴がかわいく、また小人たちもよく見れば楽しそうな様子だった。

そうそう、ここには昆虫というものがいない。小さい人間たちの世界だから小さい昆虫がいるかとおもったけど、そういうものはいなかった。小さくても、ふしぎでも、ここはあたくしが住む人間の世界とつながったひとつの場所なのだ。きっとなにかによって、ここは守られている。

そう思った瞬間、うしろからうちのセミが追いついてきて、街はパニックになった。


・・・・・・おしまい。

+++


  肉を焼くとあらわれる妖精


けっして与えてはならない。
コピペは楽だなぁ。

+アリコ+

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